土地は一般的な物品とは違って所有者の手元に動かすことができませんし、物理的に分割することもできませんので、外見からは所有者が特定しにくいという性質があります。そこで我が国では土地を含む不動産に登記制度を設けており、登記簿のなかに土地の所在や面積、所有者などの情報を書き込み、請求があれば誰でも閲覧できるようにすることで、権利関係の安定化を図っています。したがって当初の土地の所有者は登記簿に記載されている状態ですが、もしも売買などでその所有者が変更された場合には、あらためて手続きをしなければ、記載内容はもとのままで現実と一致しなくなってしまいます。これを防いで土地の名義変更をするための手続きが、所有権移転登記とよばれているものです。

名義変更のための登記は売買のほかにも贈与や相続などの際に発生することがあります。いずれも基本的な流れは同じであり、管轄の法務局に対して申請書と登録免許税とよばれる税金、そして名義変更の理由を証明できる書類を添えて申請をします。この場合の証拠書類には、たとえば本人であることを示すための住民票、売買の事実を証明するための売買契約書、あるいは相続の事実を証明する遺産分割協議書や戸籍謄本などが該当します。関係する権利者が少なくかんたんな登記であれば本人が自力で行うこともできますが、複雑なものになるとなかなか難しいため、司法書士のような専門化に依頼して登記を代行してもらうこともふつうです。